指定管理終了のご挨拶

 令和6年が能登大地震で幕開けし、毎日重く苦しい日々が続く中、はや3月半ばとなりました。ご挨拶が遅くなりましたが、2014年11月より岡本三千代館長体制でスタート致しました犬養万葉記念館も三期9年半を終え、いよいよ今月末をもちまして明日香村に引き継いで頂くことになりました。残念ながら、物販の販売・喫茶(つばいちカフェ)・部屋のレンタル・図書の貸出は終了となります。明日香村民をはじめ全国の犬養孝先生ファン、万葉ファンの方々に支えられ、光を放ってきた館でした。犬養孝先生を顕彰する館らしく、没後四半世紀を過ぎてもなお、何かと犬養先生に関わる話題が尽きなかった日々は、私にとっても本当にかけがえのない日々であり、多くの貴重な体験をさせて頂きました。また、スタッフにも恵まれ、不幸なコロナ禍の時期も変わらず、記念館や私を支えてくれました。心から感謝しております。今後、犬養万葉記念館は新たになってスタートいたしますが、皆様におかれましては変わりませず犬養ファン、明日香ファン、万葉ファンの集う拠点となりますことを心から願って止みません。
長らくお世話様になりまして誠にありがとうございました。

令和6年3月  特別館長 岡本三千代

令和5年9月13日(水)毎日新聞奈良版でうれしい記事!

来月の犬養孝先生の25年祭のご命日を前にして、うれしい記事が掲載されました。

「犬養万葉記念館(明日香村) 万葉風土学生んだ、阪大名誉教授 没後25年にガイド本、机島再生 /奈良」

と題された記事は、岡本館長の写真と共に、今なお犬養先生の遺志を引き継ぐ、犬養万葉記念館に

焦点を当ててくださったものです。あらためて犬養イズムが脈々と生きていることの喜びがあります。

記事は、下記サイトからご覧いただけます。(全記事の閲覧は有料になります)

https://mainichi.jp/articles/20230913/ddl/k29/040/255000c

令和5年9月7日 第3弾!「東日本の犬養万葉歌碑を歩く」発刊! 犬養万葉歌碑を歩く3部作が完成しました!!

犬養先生が逝去されてからも、犬養先生揮毫の万葉歌碑や関連碑が増え続けていたため、それらを網羅した携帯しやすいガイドブックができないものかと長く模索していた。新型コロナウィルスの影響で長期閉館を余儀なくされた中、その期間を利用して作成した明日香村の万葉歌碑四十基のガイドマップ「明日香村の万葉歌碑を歩く」を契機に、「大和の犬養万葉歌碑を歩く」を発刊。その翌年には「西日本の犬養万葉歌碑を歩く」を発刊した。そして今般、この「東日本の犬養万葉歌碑を歩く」が完成した。これで日本全国にある犬養先生揮毫の万葉歌碑百四十一基と関連碑・設備十九ヵ所を読者にご紹介することができた。元号「令和」が万葉集から名付けられたことから、万葉集がより注目を浴びることになり、万葉集を町づくりに利用されるところも多くなった。中でも、大伴家持が五年間越中国守として在位していた高岡市は、コロナ禍の中でもリモートで「高岡万葉まつり・万葉集全二十巻朗唱の会」を続けられたことはすばらしい。また、七尾湾に浮かぶ机島には犬養先生揮毫の万葉歌碑があるが、無人島で風化が進み島への上陸が難しくなっていた。昨年地元の若者たちが「万葉の島 机島磨き上げプロジェクト実行委員会」を立ち上げ、漂流物の撤去、島の清掃から桟橋の整備まで行い、故地の保全と島への上陸が可能となった。引き続き犬養先生を慕い、楽しく万葉の旅ができることをうれしく思う。そして、これらの本がその一助になれば幸いである。
販売は、ただいま犬養万葉記念館でのみ受け付けております。税込み700円(+送料)です。「大和編」「西日本編」「東日本編」3セットのご注文は税込み2,000円(+送料)とさせていただきます。お申し込みは、電話・FAX・メール・ホームページからもOKです。

 

 

万葉の旅(中)P216「多摩川」で紹介されている玉川歌碑は、渋沢栄一が再建したものだった!

狛江市中和泉4丁目14には、東京都指定旧跡玉川碑跡に次の万葉歌を揮毫した玉川歌碑があり、「万葉の旅(中)」P216「多摩川」で紹介されている。
多摩川に さらす手作り さらさらに なにぞこの子の ここだ愛しき(巻14-3373)

江戸時代後期(文化年間)、松平定信揮毫により建立されたが、文政12年(1892)の洪水で流され行方不明になった。90年後の大正時代に狛江村の有志が再建を計画し、松平定信を私淑していた渋沢栄一が再建した。文字は旧碑の拓本から摸刻されており、背面には渋沢による「碑陰記」が刻まれている。背面は樹木が生い茂り、全体を確認することが難しい。

多摩川児童公園の歌碑から多摩川沿いの桜堤通り・染地通り・六郷さくら通りを東へおよそ2km、水神前交差点を左に万葉通りを50mほど進むと、閑静な住宅街の中の右手にこじんまりとした万葉公園があり玉川碑跡がある。最寄りの駅は小田急小田原線狛江駅。六郷さくら通りを西へおよそ600m。

   

大発見!多摩川児童公園の万葉歌碑解説板に犬養先生の解説が!

東京の多摩川児童公園に、次の2首が揮毫された歌碑がある。
巻14-3373 多摩川に さらす手作り さらさらに なにぞこの子の ここだ愛しき
巻20-4417  赤駒を 山野にはかし 捕りかにて 多摩の横山 徒歩ゆか遣らむ

東京調布ロータリークラブが建立した歌碑で、その解説板には「赤駒を」の歌の後に、犬養先生の解説が引用されている。
「天平勝宝七年(775)二月防人の交代のときの、武蔵國豊島郡出身の防人の妻の歌です。防人は九州、壱岐、対馬の辺要を守る兵士で、当時、東国から徴集され、三年交替で、国々の役人に引率され、難波津に集結し大宰府に送られます。当時、防人は馬で行くことを許されていたので、遠い旅路をせめて馬で行かせたいという妻の心であったが、折から放牧時期であったため、赤駒が山野に放たれていたのが捕まらず、多摩の横山の道を歩いて行かねばならなくなったという妻の嘆きの歌であります。(犬養孝氏の解説引用)」

この碑は、調布市多摩川5丁目37−1にあり、多摩川が目の前にある、第8消防区分団火見櫓・多摩川児童公園管理事務所のある場所で、多摩川白衣観音菩薩が併設されている。京王閣競輪場(東京オーヴァル京王閣)から東方に京王相模原線を越えたすぐの場所に位置し、京王多摩川駅より南(多摩川方面)に100mのところにある。ここは犬養先生の「万葉の旅(中)」P216「多摩川」に紹介されている玉川歌碑からわずか西へ2kmに位置していた。

 

令和5年4月6日(木)万葉うたがたりコンサート(恋する飛鳥2023共催事業)

満開の石舞台の桜の下、「万葉人のこころに触れる。恋する飛鳥」をテーマに万葉集に魅された「岡本三千代と万葉うたがたり会」の皆さんとバリトン歌手「田中純」さんの歌唱をお楽しみください。

日時:令和5年4月6日(木)【第1部】11:15「恋する飛鳥~恋歌~」【第2部】13:15「恋する飛鳥~春うらら~」
会場:国営飛鳥歴史公園 石舞台古墳(雨天予報時は、キトラ古墳壁画体験館「四神の館」(入場無料)で開催)
料金:無料(石舞台古墳は別途入場料が必要です)

主催:国営飛鳥歴史公園 飛鳥管理センター

あけましておめでとうございます。

令和5年のスタートは1月5日から開館致しました。そして初日のきょうは「みんなで歌おう、童謡唱歌」の日。おなじみの参加者がそろい、歌い初めました。もちろんお正月と言えば千家尊福詞の「一月一日」から。出雲大社にこの歌の歌碑があります。象徴天皇である現代は、公に2番は歌わないことのようですが、なつかしい歌を通して思い出の引き出しを開けるこの機会ですので、私たちはしっかり2番も歌いました。歌を通して作られた時代を偲び、日本の歴史の変化、言葉の変化を実感します。私たちのこの月1回の機会は、個人の心のノスタルジアだけでなく、子供の頃から馴染んだあたりまえの名曲、既知曲が言葉の表現の規制や風習の消滅などからも失われつつある現代にこそ、「日本のうた」の側面史としておばあちゃんやお母さんを通して、お子さんやお孫さんに伝えていってほしいと思っています。

参加費は1コイン。この企画の開催のきっかけは、気軽に明日香村の方々に足を運んで頂く機会として始めました。ですから無料でもよかったのですが、館長のこだわりとしては、行きたいと「自分で対価を支払うこと」で参加をしてほしいからです。無料だから参加する・・・ような集客は避けたいと思っています。

1時間はあっという間ですが、レパートリーも100曲を越えました。歌詞だけのテキストですが、時折りアルトのパートが聞こえたり、曲中にフェルマータで一呼吸置いたり、最終音を1オクターブ上げたり・・・と、音楽性の工夫まで生まれる楽しさも出てきました。まさにイヌカイ記念合唱団のようです。コロナ禍でマスクを通しての歌唱ですが、それでも笑顔で帰宅してくださる後ろ姿を送り出しながら、やり甲斐を感じるひとときです。もちろんピアノ伴奏は私。そして相棒はならなびでご紹介頂いたオカモピアノです。

来月も第1木曜日。2月2日に開催します。

 

甘樫丘豊浦休憩所前の河原にあった歌碑が移設されています

「明日香村の万葉歌碑を歩く」に掲載の④の歌碑、「明日香川 明日も渡らむ 石橋の 遠き心は 思ほえぬかも」は、甘樫丘公園北の豊浦休憩所前の河原に降りる階段の左下にあったものが、その対岸の階段右側に移設されています。公園側の階段から降りれば、石橋を渡って確認することができます。下の写真の黒丸がその歌碑です。この写真は甘樫丘公園側からの撮影。(令和4年12月4日)

山梨市万力公園の「万葉の森」で、令和の解説版にも犬養先生の記述が!

山梨市万力公園「万葉の森」入口に、令和元年五月一日設置とある「令和」の解説板がある。思いがけず眺めたこの解説版の裏面に「万力公園『万葉の森』には、万葉植物の脇には全部で二十七基の歌碑があり、中には、万葉集研究の権威であった(故)犬養孝氏、国際日本文化センター名誉教授の中西進氏お二人に直筆で書いていただいた歌碑も設置されています。」
と記載されていた。犬養先生がお亡くなりになって21年後の今日、令和をきっかけに新たに万葉公園に新設された案内板に、原点である犬養孝先生をきちんと記載してくださっていることに感激しました。山梨市のこうした案内板の配慮に感謝です。この公園にある犬養万葉歌碑には、特別の装置があり、犬養先生の声で歌碑の説明と犬養節のなつかしい長歌の朗唱を聴くことができます。犬養先生の朗唱は公園内に響き渡り、最高に気持ちの良い空間でした。みなさまも是非お訪ねください。

 

犬養先生揮毫の歌碑

令和4年9月23日・24日 記念館フェスタ開催!

9月23日(祝・金)、24日(土)は明日香村で光の回廊・彼岸花祭りのイベントが行われます。記念館も両日、21時まで開館し、来館された皆様がほっとしてくださるTSUBAICHIカフェで、フリマやゲームや展示などで楽しんで頂けるように準備をしております。ぜひお立ち寄りくださいませ。