飛鳥八稜竪琴の展示が加わりました。

私のラブコールに応じて下さり、犬養孝特別記念展の最中ですが、新たに令和の御物が加わりました。

明日香村に移住し工房を持ち、ギターをはじめ、弦楽器の製作をしておられる折坂諭さん。ご自身の製作技法を基本に、飛鳥、天平期の美術を追求しておられます。今年2月に行われた「明日香の匠」展で令和を記念して製作、出品されたこの作品に私は大変感銘を受けました。「令和を記念」と言うのは、私の思い込みが強いからかもしれませんが、昨年元号で注目を浴びた大伴旅人の万葉歌の中に、大宰府赴任中の旅人が親しい藤原房前(藤原不比等の第2子で、のちに天然痘で死去)に琴を送り、あわせて手紙と歌2首を添えて贈り物の由来を説明した箇所があります。古代の社交の1つのケースです。添えた創作文は、夢の中で琴が一人の娘子になって現れ、「いつになったら、この琴の音を知ってくださる方の膝の上で、膝を枕に横たわることができるでしょうか。」と語ったのを受け、「物を言わぬ木であってもお前はきっと素晴らしい方の親しまれる琴であるに違いない!」とやりとりがあり、夢でのことではあるが黙ってはいられず、添えて進呈いたします・・・という手の込んだプレゼント。1か月後「物言わぬ木であってもあなたのご愛用の琴を粗末に扱ったりいたしましょうか。」と房前から礼状が届いています。旅人も納得? 犬養万葉記念館で展示させて頂いた作品はそのエピソードからヒントを得て作られた竪琴。八稜/八花と呼ばれる銅鏡の外形を基本に、開口部は万葉の自然崇拝の王者「月」をかたどり、共鳴板の孔には高松塚古墳出土・透かし彫り金銅製金具のデザインをあしらったオリジナルの竪琴(ハープ)と言うことです。裏面には万葉仮名で「伎美我手奈礼能許等尓之安流倍志」巻5の811の歌も彫り込まれています。もちろん演奏も可能です。縦横約60センチ、ウォルナット材が主ですが、こだわって地元の明日香村産スギ、ヒノキも使用されています。

明日香村で毎年「匠」展が行われていますが、やはり「明日香村」においては万葉時代、そして「令和」というタイミングを捉えて作品を作られたセンスに、私の期待と一致したということでしょうか。折坂さんとの出会い、そして作品との出会いに感謝しています。折しも今朝のNHKのニュースで(6/8)コロナの影響で中止になっていた正倉院の御大典記念特別展「よみがえる正倉院宝物~再現模造に見る天平の技」が7月4日から開催されることになったとのこと。折坂さんの技術のもととなった本物の技を見学するチャンスもできました。何とタイムリー!明日香の「匠」折坂さんの作品も令和の宝としてこれからも貴重な品となっていくことでしょう。折坂さんがかつて作っておられる琵琶やその他の作品もまたご紹介できたらいいなと思います。オカモの笑倉院(昔のホームページで公開していた)には間違いなく登録です。(笑)