犬養先生、ふたたび・・・。(文責:おかも)

犬養万葉記念館でさりげなく館長講座に参加しておられた岡本直也さん。実は朝日新聞社の記者さんでした。思いがけずこのたび退職される前の節目のお仕事に「犬養孝」記事を書き上げてくださいました。何という幸運でしょうか。令和という年号によって、『万葉集』に注目が集まり、また明日香村の犬養万葉記念館がいろんな機会に紹介され、再び犬養先生のことを知って頂く機会も増えましたが、歴史学者の山内英正さんからすれば「亡くなって20年以上も経た人物はもう歴史上の人物である」とのこと。しかし私たちにとってはいまだに昨日のことのように思い出を語り継ぐ犬養孝先生です。その犬養先生の来し方を今あらためて新聞紙上で掲載してくださる機会ができたことを本当にうれしく思います。その記事からこのたびはじめて「犬養孝」を知る人もあるでしょうし、「犬養先生」「万葉集」に興味を持っていただけるかもしれません。かつての「思い出」をなつかしく蘇らせる方があるかもしれません。その記事を見て、明日香村へ、そして犬養万葉記念館に来てくださる方もあれば、全国の万葉故地に行ってみようと思われる方もあるでしょう。「一人でも多くの人に万葉集の魅力、万葉人の心の輝きを知ってほしい」と生涯楽しんで万葉の旅、人生の旅を続けられた犬養先生のたましひが永遠であることの証だと思いました。今月、朝日新聞の夕刊(全国版?)で紹介されるようです。明治生まれの犬養先生が、昭和、平成、令和と今もなお慕われ、敬愛され、こうして記事で取り上げて頂かれることの「徳」をしみじみ感じます。岡本記者、コロナ禍の中、足での取材を本当にありがとうございました。
写真は、昭和50年に机島の歌碑建立のために先生とマジと三人で「石」を下見に行った時のショット。やはり先生と手をつないでいますね。(笑)

「犬養孝ものがたり」

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昨年コロナ禍のため開催できなかった「犬養孝ものがたり」の講談会をリベンジ。犬養万葉記念館の企画イベントでしたが、やはり三密を避けるということで、明日香村健康福祉センターたちばなのかんなびホールにて、完全申込制で行いました。

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4代目玉田玉秀斎さんとお弟子さんの玉田玉山さんのお二人の出演で、「犬養孝ものがたり」は実は、昨秋岡本三千代の万葉うたがたりコンサートで、玉秀斎さんに1度語って頂いており、今回は玉田家の持ちネタ?出し物の1つとして出来上がった作品を玉山さんに引き継がれて披露された記念すべき機会だったそうです。今回は演じられる内容だけでなく、前後で講談の歴史、「講談」とは、そして師匠のプロフィール、玉田家についてなど、いろいろ側面のお話も聞かせてくださり、演目以外にも楽しめました。ご配慮に感謝しております。メインの犬養孝ものがたりは、まさに先生の人生を語って頂き、犬養先生が、徳川家康やと真田幸村のように「歴史的人物」として語られたことに驚きと感慨がありましたが、しみじみ犬養先生のドラマチックな人生を顧みることもでき、なつかしい時間でもありました。

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師匠の玉秀斎さんにはトリで徳川家康の1席を語って頂き、私たちは新作、古典作品の両方を聞くことができました。お弟子さんの玉山さんは今後「万葉ドラマ」も語ってみたいと意欲があり、それならネタ作りには私も積極的にご協力したいと思った次第です。(笑) 雨とコロナ禍で「満員」にできなかったことが悔やまれますが、これをきっかけに明日香村でも再びこのような機会がもてるようになればいいなと思います。限られた時間に玉秀斎さんは亀石まで散策してくださいました。合間に少しだけ「あすかルビー」を食べて頂き、もっと明日香村に親しんで頂きたいな・・・と思いつつ、念願の「講談会」を終えることができました。ご参加くださいました皆様ありがとうございました。これが最後の館長企画イベントでした。バンザ~イ!!!

 

 

4月4日(日)にリベンジします!講談「犬養孝ものがたり」

昨年中止となった「若菜祭」。

今年は年度末に行いますが、昨年「令和記念企画」で準備していた講談「犬養孝ものがたり」をどうしても実現したく、4代目玉田玉秀斎さんに今年もお願いしたところ、快くお引き受けくださいました。

明日香村で「講談」を聞く機会も貴重だと思いますが、初めての人のためにもプログラムの中でご準備くださっており、うれしい限りです。

プログラムですが、 まずお弟子さんの玉田玉山さんの玉山物語または修羅場読みから開幕、そして 玉秀斎さんに「講談について」の手ほどきを頂きます。
そして、玉田玉山さんによる「犬養先生物語全編」
 休憩ののち、トリは玉秀斎さんによる「古典もの」でしめて頂く予定です。
4月4日(日)  13時30分~15時30分(13時開場)
会場は、明日香村健康福祉センター かんなびホール
木戸銭  500円なり。
みなさまのご予約、そしてご来場をお待ちしております。

「万葉うたがたりと共に40周年 令和記念コンサート」をブルーレイで発売開始

個人的な館長告知をさせて頂きます。岡本本来の活動、『万葉集』を歌い、語る「万葉うたがたり」が、コロナ禍の2020年に40年を迎えました。ただいまも再びコロナ感染が広がっていますが、11月21日に西宮市のフレンテホールで奇跡的に行うことができました。無観客も想定し、映像に納めていました。うたがたりメンバーの愛蔵版として、思い出に残るものとなりましたが、もしも「見たい」とおっしゃる方がありましたら、販売させていただきますので、記念館にご一報くださいませ。「元気の素」です。

令和3年 新年のご挨拶

半年ぶりの館長の動画で、新年のご挨拶です!

 

「みんなで歌おう童謡唱歌」再始動!

2月以来、5カ月ぶりの「みんなで歌おう童謡唱歌」は、なんと七夕の日。コロナ感染防止策を講じての再開となりました。おひとりでもと思っていたところ9人のご参加に感謝。満員御礼でした。近未来の歌唱スタイルです!!!。

 

猪熊兼勝氏講演会にご参集ありがとうございました。

令和にあらたまった最初の「若菜祭」の記念講演を考古学者、猪熊兼勝先生にお願いしておりました。春の行事はすべて中止となり、このたびの自粛規制の時期を経ましたが、猪熊先生には再びお願いをし、本日6月20日ようやく実現することができました。明日香村での各種行事も集会する場所が限られているのですが、犬養万葉記念館も密の状態で定員が40名ですので、今回だけは教育文化課のご理解のもと、明日香村健康福祉センター「かんなびホール」で、ホール定員の3分の1集客と言う条件で、また主催者側からは完全申込制、マスク着用条件で行いました。今月に入ってからの講座告知でしたが、あっという間に定員を満たし、みなさんが楽しみにしていてくださったことを知りました。

猪熊先生には「大津皇子の時代」というテーマで、大津皇子を軸に飛鳥時代の政権推移の背景の歴史を考古学的見地から説明して頂きましたが、特に明日香村での名所と言われる「石」や遺跡などについての謎も解け、また万葉歌もご紹介くださりながらの90分は、あっという間でした。学会発表のように講座内容をきちんと文章にまとめあげてくださったものを各自の資料として提供してくださいましたので、聴講された方々は、帰宅されてからもう一度おさらいをされたことでしょう。私が興味深かったのは猪熊先生の準備されたスライドでした。キリストの聖骸布ではありませんが、鎌足の遺骸のレントゲン写真や(びっくり!)、飛鳥資料館勤務の時にご自身が制作に関わられた山田寺仏頭のポスターや(今はプレミアがつく「作品」となったそうです)、もちろん多くの貴重な発掘写真など、先生の来し方を納得するものでした。質疑応答の時間も講座関連のみならず、猪熊先生が関わってこられた多くの発掘の成果とその中でもキトラ古墳の被葬者は誰か先生の見解を聞いてみたい・・・と尽きない時間でした。

柔和な語り口で、エピソードも交えながらの90分でしたが、折々に猪熊先生の情緒的なお人柄を感じました。雑談をする中で、阪神タイガースのファンであることも知り、御年82歳でいらっしゃいますが、ますますお元気にご活躍頂きたいと思いました。次回は犬養万葉記念館で講演会が開催できることを願っています。

2020年6月17日 福井県越前市味真野地区にある治左川の梅花藻

越前市万葉館で開催中の犬養万葉記念館交流展の展示替えに行きました。昨年も訪れたこの場所にまた来てみました。清流の流れに泳ぐ梅花藻。とてもきれいです!

飛鳥八稜竪琴の展示が加わりました。

私のラブコールに応じて下さり、犬養孝特別記念展の最中ですが、新たに令和の御物が加わりました。

明日香村に移住し工房を持ち、ギターをはじめ、弦楽器の製作をしておられる折坂諭さん。ご自身の製作技法を基本に、飛鳥、天平期の美術を追求しておられます。今年2月に行われた「明日香の匠」展で令和を記念して製作、出品されたこの作品に私は大変感銘を受けました。「令和を記念」と言うのは、私の思い込みが強いからかもしれませんが、昨年元号で注目を浴びた大伴旅人の万葉歌の中に、大宰府赴任中の旅人が親しい藤原房前(藤原不比等の第2子で、のちに天然痘で死去)に琴を送り、あわせて手紙と歌2首を添えて贈り物の由来を説明した箇所があります。古代の社交の1つのケースです。添えた創作文は、夢の中で琴が一人の娘子になって現れ、「いつになったら、この琴の音を知ってくださる方の膝の上で、膝を枕に横たわることができるでしょうか。」と語ったのを受け、「物を言わぬ木であってもお前はきっと素晴らしい方の親しまれる琴であるに違いない!」とやりとりがあり、夢でのことではあるが黙ってはいられず、添えて進呈いたします・・・という手の込んだプレゼント。1か月後「物言わぬ木であってもあなたのご愛用の琴を粗末に扱ったりいたしましょうか。」と房前から礼状が届いています。旅人も納得? 犬養万葉記念館で展示させて頂いた作品はそのエピソードからヒントを得て作られた竪琴。八稜/八花と呼ばれる銅鏡の外形を基本に、開口部は万葉の自然崇拝の王者「月」をかたどり、共鳴板の孔には高松塚古墳出土・透かし彫り金銅製金具のデザインをあしらったオリジナルの竪琴(ハープ)と言うことです。裏面には万葉仮名で「伎美我手奈礼能許等尓之安流倍志」巻5の811の歌も彫り込まれています。もちろん演奏も可能です。縦横約60センチ、ウォルナット材が主ですが、こだわって地元の明日香村産スギ、ヒノキも使用されています。

明日香村で毎年「匠」展が行われていますが、やはり「明日香村」においては万葉時代、そして「令和」というタイミングを捉えて作品を作られたセンスに、私の期待と一致したということでしょうか。折坂さんとの出会い、そして作品との出会いに感謝しています。折しも今朝のNHKのニュースで(6/8)コロナの影響で中止になっていた正倉院の御大典記念特別展「よみがえる正倉院宝物~再現模造に見る天平の技」が7月4日から開催されることになったとのこと。折坂さんの技術のもととなった本物の技を見学するチャンスもできました。何とタイムリー!明日香の「匠」折坂さんの作品も令和の宝としてこれからも貴重な品となっていくことでしょう。折坂さんがかつて作っておられる琵琶やその他の作品もまたご紹介できたらいいなと思います。オカモの笑倉院(昔のホームページで公開していた)には間違いなく登録です。(笑)

 

Web版初恋通信(犬養万葉記念館だより)第4号

令和2年5月21日(木)万葉植物野外講座の馬場吉久講師に、記念館中庭の万葉植物について紹介いただきました♪